2023.01.26

国産タオルの三大産地ってご存知ですか?

国産タオルの三大産地ってご存知ですか?

ホテル・旅館用タオルなど業務用タオル専門店コットン幸新の清水です。当社は昭和55年の創業以来、業務用タオルの専門店として商いを営んで参りました。静岡県浜松市に本社を有しますが、北海道から沖縄まで全国のホテルや旅館様に業務用タオルの販売を通じて専用の浴衣や帯、アメニティなどの周辺グッズを取り揃えております。

今回は、これまでの知識を生かし、国産タオルの三大産地について紹介していこうと思います。

国産タオルの三大産地と言えば、愛媛県今治市、大阪府泉州市、三重県津市になります。国内タオルの生産量は、1991年をピークに総じて低迷が続いてきました。経済産業省の調査によると、国内のタオル生産数量は2019年で約1万1000トン。1980年代以降、輸入タオルが多くなり、今では最盛期の1/5程度まで下がってしまっています。

中国製やベトナムなど東南アジア製が多くを占める輸入タオルの数量は2019年で約7万2000トンと、国内生産量の6倍超にも達します。そんな中、国内生産量の60%程度を占める愛媛県今治市や大阪府泉州市、三重県津市の三大産地では、タオル産地の「ブランド化」など高付加価値路線に転換。価格競争に巻き込まれやすい汎用品から脱却し、タオルブランドを創造。近年は、贈答品などを中心とした国産高級タオル市場を形成し、価格競争に左右されない収益の確保に成功しています。

しかしながら、新型コロナウィルス感染症が蔓延した2020年は、前年比80%と大幅に生産量を下げる形になってしまい、いまだその傾向は続いています。

今治(いまばり)タオルは愛媛県今治市で作られたタオルで、国産タオル全体の約60%のシェアを占めます。ふわふわの肌触りと優れた吸収性が特徴のタオルで、洗濯をしても比較的そのふわふわ感がいつまでも続くと、当店でも人気です。

今治タオルは100年以上の歴史を持つ愛媛県今治市で製造されるタオルです。タオルの一大産地で、高品質で高級なタオルの代表格となっています。今治市には高縄山系を源流とする伏流水など、極めて金属の少ない軟水が豊富にあり、晒しや染めに最適な環境となっています。また、愛媛県今治市は、タオルを織る工場のほか、撚糸(ねんし)工場、染色工場など、200近い関連工場が集積しています。

佐藤可士和さんによって手掛けられたロゴマークは、白を背景に赤と青のモチーフで太陽と海をかたどったシンプルなデザインで、四国タオル工業組合による独自の「認定基準」に合格した製品にのみ付けられています。今治タオルの品質基準の厳しさに高い吸水性試験があります。今治タオルブランドの吸水性試験は、1リットルの水が入ったビーカーの上に、1cm四方のタオルを浮かべ、5秒以内に沈み始めたら合格です。これは「5秒ルール」と言われ、タオル業界の人間ならほとんどの人が知っていることです。

この吸水性試験は、洗濯をしていない状態と3回洗濯した状態の2回に分けて行われ、クリアした商品のみを今治タオルとして認定しているのです。こうしたことからわかるように、産地である今治の素材を使っていることが今治タオルの定義ではあるものの、「今治産=今治タオル」ではないのです。

この今治タオルの品質の高さから、費用はそれなりに高価にはなりますが、近年高級ホテルや高級旅館でも多く使われております。

泉州(せんしゅう)タオルは大阪府泉州市で作られたタオルで、国産タオル全体の約40%のシェアを占めます。泉州タオルの特徴は肌触りが良く吸水性が高いです。織機で織る際に糸に糊(のり)をつけて織り、後で洗い流す後晒し製法をとっています。タオルの製造方法は、先晒しと後晒しの2種類があります。先晒しはタオルを織る前に、糸の糊や不純物を落としてからタオルを織っていきます。そのため、出来上がった製品は後晒しに比べ、やわらかい風合いになりますが、縮みやすくなります。

ホテルや旅館さん用の業務用タオルとして考えると、泉州タオルのような後晒しのタオルの方が、丈夫なため好んで使われるケースが多いです。タオルが織り上がり、形になった後に晒しを行い、最後に糸に付着した不純物や糊を綺麗に取り除くので、製品としてはとても清潔感のある状態で納品できます。

もともと泉州は江戸時代から綿栽培がさかんでした。綿織物の産地でもあり、手ぬぐいなど作っていました。その後、明治18年に大阪で舶来雑貨商を営む新井末吉がドイツ製タオルを入手し、日本でも大いに需要が見込めるとして、泉佐野市の白木綿業者、里井圓治郎にその製織の研究をすすめたことが泉州タオル始まりと言われています。タオルの製造工程では水が多く必要になります。泉州は、和泉山脈の豊富な水源があったこともタオルの一大産地となった理由です。

ホテルや旅館用などの業務用タオルとしてご利用いただくのであれば、洗濯をしても縮みにくい泉州タオルはおすすめです。

おぼろタオルは、三重県津市で作られたタオルで、国産タオルの三大産地とはいえ、今治と泉州の圧倒的シェアに押され、全体の数%のシェア率となっています。おぼろタオルの特徴はタオルの軽さです。おぼろタオルに使われる糸は、他の国産タオルに比べ細いため、縫いあがったタオルは比較的薄手で非常に軽くなります。そのため、吸水性が高く、速乾性も高いのが特徴です。

おぼろタオルは、1900年代に従来あった無地で味気ないタオルにヨコ糸だけを染める「おぼろ染め」という技術が名前の由来です。この技術によって染められた「おぼろ染めタオル」は、乾いた状態では模様がおぼろげに見えますが、水に濡らすとくっきりと浮かび上がり、その様子が、おぼろ月夜が晴れる様子に似ています。

通常、ボリューム感を出す目的として使われることの少ない40番手という細い糸を2本同時に引き揃えて、パイルに出すおぼろタオル独特のダブルパイル製法は、一見太い糸と見間違えてしまう程のボリューム感があります。織りあげる糸の細さから、ボリュームがあるにも関わらず手に取るとわかる驚く程の軽さです。

今治タオル、泉州タオル、おぼろタオルとそれぞれの特徴はご理解いただけましたでしょうか?コットン幸新はホテルや旅館様をメインにした業務用タオルの専門店です。そのため、名入れタオルとして納品させていただくことがほとんどです。

ただ、この三大産地のタオルの場合、今治タオル(今治ブランドのタオル)は、製品後への名入れは禁じられています。また、おぼろタオルはすべてパイル地になるため、あまりお勧めできません。

その点、泉州タオルは平地部分があり、また後晒し製法で丈夫なので、何回も洗って使用する業務用タオルには向いています。そのため、当社では国産タオルへの名入れを希望する場合には、泉州タオルをお勧めしております。

一般遣いであれば今治タオルやおぼろタオルも素晴らしい品質です。特に名入れをご希望されないホテルや旅館様であれば今治タオルで高級感を演出し、ブランディングされるのも良いですよね。今治ブランドのロゴを入れない今治で作られたタオルであれば、名入れ対応も可能になります。お客様の用途に応じ、各種タオルをご利用ください。

この記事はわたしが書きました

清水大介(しみずだいすけ)

株式会社コットン幸新 代表取締役

1980年創業、繊維製品販売するコットン幸新2代目として令和元年に代表取締役就任。子供のころから父親の働く姿を見て将来の夢は、同じ仕事をやりたいと心に抱いていました。そんな私も今は、3児の父。後を継いでもらえるように子供たちに背中を見せれればと思っております。
常にお客様ニーズに合った提案ができるように心がけています。

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